コンテンツへスキップ

iPS細胞とES細胞、STAP細胞の違いとは?

Spread the love

iPS細胞と言うとどんなイメージがありますか?

再生医療
クローン技術
羊のドリー
山中伸弥教授
ノーベル賞

など思い浮かぶかもしれませんね。

でも、キーワードは出てくるけど詳しく分からない方の方が多いのではないでしょうか?

理由は分かっています。

知りたいけど専門用語が多すぎるからです。

この記事では出来るだけ分かりやすくiPs細胞の歴史、ES細胞からSTAP細胞までメリットやデメリットを解説したいと思います。

スポンサードリンク



再生医療が始まるまで

全てはここから始まった

今、皆さんは60兆個の細胞からできていて、1個1個の細胞の核に遺伝情報がある事を知っています。

そして、遺伝情報である遺伝子はどこの細胞も全く同じ情報が詰まっていることも知っています。

知らない人に対して皮肉を言っているわけではなくて、誰でも調べればわかる事実を述べています。

でも「60兆個の細胞全てに同じ遺伝情報がある」ということが分かったのは一人の研究者のおかげなのです。

それはイギリスの生物学者で後に山中伸弥教授とノーベル生理学・医学賞を同時受賞したジョン・ガードン博士です。

ジョン・ガードン博士がどの細胞も同じ遺伝子を持っていると発見する前は、役目を終えた遺伝情報は消去されると考えられていたのです。

例えば皮膚の細胞は肝臓になるための遺伝情報を消去されるし、肝臓の細胞は皮膚になる為の遺伝情報を消去されると言った具合です。

皮膚になったら皮膚以外の他の不要なプログラムを、肝臓になったら肝臓以外の不要なプログラムを神経になったら神経以外のプログラムを捨ててそれぞれの細胞へと分裂し分化を終えると思われていたのです。

それぞれの細胞へと分裂・増殖していくのは初めは1個の受精卵と言う細胞です。

1個の受精卵がそれぞれの細胞へと役目を持った細胞に分裂していく事を分化と言います。

分化してしまった細胞は受精卵のようにどんな細胞にも変化すると言う能力を失ってしまうと考えられていたのです。

受精卵のようにどんな細胞にもなり得る能力を万能性と言います。

ジョン・ガードン博士はどの細胞にも全て同じプログラムを持った万能性の遺伝子がある事を発見したのです。

言うまでもなくこの発見がなければ今のiPS細胞の技術はありません。

ジョン・ガードン博士 が発見した万能性

ジョン・ガードン博士が行った研究

研究にはカエルを使いました。

実験に必要な個体は最低3匹です。

おたまじゃくしのアンバー君(仮名)からは腸の細胞を採取して核を取り除きました。〈核(遺伝子)の提供者〉

カエルのベッキーちゃん(仮名)からは未受精卵(卵細胞:卵子)を採取しました。その未受精卵に紫外線を照射して核を破壊しました。〈除核した未受精卵の提供者〉

カエルのチェルシーちゃん(仮名)には子宮を提供してもらいました。〈代理母〉

アンバー君の細胞の核をベッキーちゃんの除核した未受精卵に移植しました。

これでアンバー君の遺伝子を持ったベッキーちゃんの未受精卵が出来ます。

この未受精卵から肺胞と呼ばれる個体発生の初期段階(受精卵のように細胞分裂が始まって細胞が増殖しているが、細胞はまだ分化していない)を作りチェルシーちゃんの子宮に移植します。

なんと、アンバー君と同じ遺伝子を持ったおたまじゃくしが生まれたのです。

もし、アンバー君の腸の細胞に腸以外の遺伝情報が残っていなければこんな事は起こりません。

アンバー君と同じ遺伝情報を持ったオタマジャクシが生まれると言う事は腸の細胞にも万能性を持った遺伝子があると言う事です。

この本来の受精卵と同じ能力を有するを受精卵を作る事を体細胞の初期化あるいはリプログラミングと言います。

この研究の後でジョン・ガードン博士は皮膚や心臓、肺、肝臓、腎臓、でも同様の実験をしリプログラミングに成功しています。

こうして60兆個全ての細胞が全く同じ万能性を有した遺伝子を持っていることが証明されたのです。

ES細胞の誕生と問題点

ES細胞の誕生

実験ではチェルシーちゃんの除核した卵細胞にアンバー君の遺伝情報を加えて受精卵と同じように細胞分裂が始まるように手を加えます。

細胞分裂が始まって5〜7日間はまだ増殖した細胞に分化能力はありません。

つまり、この時期の細胞は全てどの細胞、どの組織、どの臓器にもなり得る万能性を持っています。

この細胞を取り出して培養したものをES細胞(Embryonic Stem Cell:胚性幹細胞)と呼びます。

ES細胞の技術はカエルだから可能であり、哺乳類では無理ではないかと思われていましたが、皆さんご存じのクローン羊ドリーの誕生により哺乳類でも可能だと証明されることになります。

ES細胞の問題点

このES細胞の技術をヒトで行うと言うとどうなるでしょうか?

例えば目が見えなくなる黄斑変性という病気で視力を失った患者さんがいたとします。

ES細胞から目の網膜の細胞を作るためにアンバー君のような核の提供者がいたとします。

もちろん患者さん本人でも良いわけです。

じゃあ、ベッキーちゃんのような卵の提供者はどこから連れてくるのでしょう。

その提供者問題を解決する方法として選ばれたのが、不妊治療で採取されたものの不要となり廃棄することになる受精卵でした。

しかし受精卵を破壊してES細胞を作る事は、人として生まれてくるはずの受精卵の人権を無視するものだと言う倫理的問題に直面します。

世界では国策として研究予算を出せないとか、卵子を高値で売買するなどの社会的問題にまでなりました。

さらに受精卵は上記の失明した患者さんの遺伝子ではないので、ES細胞をから網膜を作って移植しても拒絶反応が出ると言う問題点が残りました。

iPS細胞の誕生と展望

iP細胞の誕生

60兆個全ての細胞が万能性を有した遺伝子を持っています。

それはジョン・ガードン博士が証明しました。

でも皮膚を怪我をして治癒する段階で肝臓ができたら困りますが、実際に肝臓は出来ません。

その万能性を捨てていないのなら何処に行ったのでしょうか?

皮膚になるためのプログラム以外のプログラムが起動しないように扉を閉めて鍵をかけているのだけなのです。

ES細胞ではその鍵を開ける因子はわかりませんでしたが、分化し終わった細胞(例えば皮膚の細胞)も万能性があるならその鍵を開けるES細胞と同じ因子があるのではないかと仮説を立てたのが山中伸弥教授でした。

その後、鍵を開ける因子を特定し、どこの細胞からでも初期化できる事を証明しました。

受精卵は必要ありません。

例えば患者さんの皮膚の細胞を採取して初期化のための因子を導入して手を加えれば万能性を持った細胞が生まれます。

これがiPS細胞(Induced Pluripotent Stem Cell:人工多能性幹細胞)です。

iPS細胞の展望

iPS細胞を移植すると免疫反応が起こりやすいと言うニュースをご覧になった方も多いと思います。

これは未分化の状態で移植したからだと言われています。

目的の細胞に分化させて未分化な細胞を取り除いてから移植を行えば動物実験では今のところ問題ないようです。(参照:京都大学iPS細胞研究所CiRA

iPS細胞が腫瘍化すると言う問題においても原因が2つに絞られいて、腫瘍化させないための研究の成果を確実にあげているそうです。

現在ではiPS細胞から作った組織をヒトに移植する段階に入っています。

また、再生医療ではiPS細胞から作った組織を移植するでけでなく、病気の患者さんからiPS細胞を作りその病気を同じ状態の細胞を作り出し、薬の有効性を試すと言うことも行われています。

これから近い将来iPS細胞を使った再生医療が難病を治す時代が来ることは間違いないと思います。

STAP細胞とは ?

一世風靡したSTAP細胞とは何だったのか

最後に「スタップ細胞はあります」で世間を賑わせたスタップ現象とは何だったのか簡単に触れておきます。

山中研究ではiPS細胞を作るときに皮膚の細胞を採取して4つの遺伝子を細胞内に導入します。

この4つの遺伝子(タンパク質)を病原性を取り除いたウィルスに組み込んで、ウィルスの感染システムを使って細胞内に遺伝子を送り込みます。

ある時、ウィルスを使って遺伝子を導入しなくても細胞が初期化されるという手法を小保方靖子さんが発表しました。

それは弱酸性(PH5.7)の溶液に細胞を短時間つけると言ういたってシンプルなやり方で細胞が初期化されると言うものでした。

外的刺激によって初期化されるため刺激惹起(じゃっき)性多能性獲得(Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency)現象、いわゆるSTAP現象です。

このスタップ現象によって初期化された細胞をスタップ細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)と言ったわけです。

これが実現していたらiPS細胞の発展はなかったかもしれません。

なぜ実現しなかったのかは皆さんの方がご存知かもしれませんね。

この記事が良かったと思った方、画面に出ているSNSボタンで応援していただけると嬉しいです😆😆😆

スポンサードリンク




Spread the love