コンタクトレンズ、ケア用品のおすすめ
言葉を正しく使い分ける
正しい手入れをしましょう!
コンタクトレンズユーザーなら一度は耳にすると思いますが、筆者に言わせると眼科のスタッフも販売店のスタッフも全く理解していません。
スタッフが理解してないのに一般の方々が出来るわけがないんです。
あなたが知らないのも無理はないのです。
今回はケア用品のおすすめ第2弾、微生物対策の話です。
手入れを理解するには先ず言葉を理解する必要があります。
難しくないので安心して下さい。
「消毒」「殺菌」「滅菌」「防腐」「除菌」「抗菌」
あなたはこれらの使い分けが分かりますか?
これらの用語は微生物の生命活動をどの程度抑制できるかを表しています。
先ずは定義を3つ日本石鹸洗浄工業会のホームページからまとめてみます。
殺菌とは、殺菌と消毒、滅菌、抗菌、防腐、除菌の違い!
滅菌:有害・無害を問わず、対象物に存在している全ての生物、ウィルスを完全に(一匹残らず)死滅させるか除去すること。
消毒:対象物に存在する病原性のある微生物を、その対象物を使用しても害のない程度まで減らすこと。あるいは感染力を失わせるなどして、毒性を無力化すること。
殺菌:菌を殺すこと。対象や程度を含まない概念。
まずは、「滅菌」と「消毒」の違いを確認しておきましょう。
滅菌は普段の生活の中では不可能です。
どこまでやっても菌や芽胞(がほう)が絶対に残ります。
芽胞とは細菌が劣悪な環境になった時に自らの尻尾を切り落とし卵の様な状態で生き残る形態の事です。
芽胞として生き残った細菌は環境が整った時に再び尻尾を生やし増殖するのです。
滅菌をする為には高圧滅菌装置やガス滅菌装置を使って芽胞まで死滅させる必要があります。
病院などの施設でしか出来ません。
滅菌をする事により手術器具が安心して使用出来るようになります。
ちなみに病院では清潔と言えば滅菌された状態を言い、菌1個、芽胞1個でも不潔と言います。
普段の生活で行うのは消毒です。
ケア用品はあくまでも消毒が目的です。
殺菌と消毒は同じ意味で使われることが多いですが、消毒は殺菌を限局した言い方になります。
ケア用品に使われるのは「消毒」という言葉なので、定義中の「対象物」を「コンタクトレンズ」に読み換えるとわかりやすいと思います。
つまり、コンタクトレンズに存在する病原性のある微生物を、コンタクトレンズを使用しても害のない程度まで減らすこと
これが、ケア用品における消毒の目的です。
洗浄の目的ではないですからね。
次に食品に防腐剤が入っているとかいないとか言う場合の防腐や便座の抗菌コートなどの用語を説明します。
コンタクトレンズでは防腐剤フリーや抗菌効果などの文字を目にすると思います。
防腐とは:
①微生物の進入・発育・増殖を防止する
②腐敗・発酵が起こらないようにする
③殺菌作用はないので持続的に働くことが求められる。ー引用Wikipedia ー
まずは先ほどの「消毒」を「防腐」と比べます。
掻い摘んでいうと、微生物の数を減らすのが消毒です。
時間が経つと消毒効果は弱くなって微生物は数を増やしていきます。
そこで減らした微生物の数を増やさないようにすることが防腐剤の役目ということになります。
もっと解りやすく例えると消毒は剣で攻撃すること、防腐は盾で防ぐことです。
次は「抗菌」を見てみます。
抗菌:細菌の増殖を阻止すること。対象や程度は含まない。
これもほぼ防腐に近い用語で盾で防ぐ事ですね。
除菌 : 物体や液体といった対象物や、限られた空間に含まれる微生物の数を減らし、清浄度を高めること。学術的な専門用語としてはあまり使われていない言葉。
「除菌」、「防カビ」とならんで「抗菌」という用語は「より噛み砕いた、あるいは曖昧な意味」として用いられます。
「抗菌」と表示される洗浄液を作っているメーカーで、具体的な成分を聞いたところ、抗菌効果を持っている特定の成分があるのではなく、成分の配合比率によって「抗菌効果」が現われる、ということでした。
しかも、定義を見る限りではどの細菌に対して、どのくらいの効果があるか解らないといったものです。
もし菌を殺す効果の強調やその必要性を宣伝するなら、「消毒」または「殺菌」という用語を使います。
だから、こういった曖昧な用語に惑わされて、抗菌や防腐だから安心だと思わないで、定期的に洗浄保存液の交換にこそ意味があるのだと認識することが大事なのです。
基本的につけおきのタイプが消毒で、中和やすすぎが必要です。
こすり洗い不要のケア用品
洗浄成分は含まれていません。
なので、中和するタイプは汚れがよく落ちると言っているスタッフがいますが全く根拠のないデタラメです。
しかし、中には微量な界面活性剤が含まれていて泡の弾ける物理的な衝撃によって油汚れを落す効果を狙った商品もあります。
こすり洗いのタイプにも消毒液は入っていますが目に入れても刺激がない程度の弱い効果です。
大まかですが汚れ対策はこすり洗い、消毒はつけおきタイプとなりますのでよく覚えておいてくださいね。
こすり洗い不要のケア用品はなぜこすり洗いが不要なのか、それは洗い(洗浄)ではなく消毒だからなのです。
時間の経過で菌を殺すことを目的としているのです。
次回に続く、