コンタクトレンズ、ケア用品のおすすめ
前回は洗浄と消毒の考え方についてお話しました。
今回はケア用品のおすすめ第3弾の洗浄、つまり汚れ対策について解説します。
汚れのターゲットは
油、ミネラル、タンパク質
主にこの3つです。
その理由は前回お話ししましたね。
汚れを落とすには何をターゲットにするのかを考える必要があります。
成分によってターゲットとする汚れと作用機序が異なるからです。
まずはコンタクトレンズに付着した油汚れを落とす成分の話から。
とその前に、、、
油と脂の違いを手短に、、
常温で液体のものが油、個体のものが脂です。
界面活性剤と表面張力
界面活性剤って何?
界面活性剤といえば洗剤を思い浮かべる人もいるかと思います。
界面活性とは簡単に言えば物質の引力を弱める働きを言います。
そして一本のマッチ棒の様な形をしていて、頭の方が水と仲良しな性質、棒の方が油と仲良しな性質を持っています。
このマッチ棒の頭に水がくっつき、棒に脂がくっつきます。
普通、油汚れのあるところに水道の水を勢いよく流しても油ははがれませんよね。
水と油は混ざらないですからね。
それは油の分子と油の分子とが引力によってくっついて油汚れが形成されているからです。
水分子の引力では油分子を引っ張るだけの力はありません。
そこにマッチ棒を何本か登場させます。
マッチ棒の棒が油の分子を引っ張ってきて油を浮かせます。
汚れから離れた油分子の周りをほかのマッチ棒が取り囲みます。
マッチ棒の頭は水と仲が良いのでそのまま水道水に混ざって流れていきます。
絵を見ていただくのが一目瞭然かもしれませんね。
これが界面活性剤特有の表面張力を弱めると言う働きです。
今は水道水に流れていく状況を説明しましたが、絵をご覧の通り界面活性剤に取り囲まれることによって水の中に油を混ぜることができます。
界面活性剤は洗剤だけでなく、水と油を混ぜる成分なので、食材にも広く使われています。
たとえば、マヨネーズです。
おなじ容器にお酢と油をいれると分離してしまいます。
でも卵をいれてまぜるとマヨネーズになってと分離しなくなりますよね。
卵の黄身にふくまれるレシチンという物質が水と油をまぜる界面活性剤の働きをしているからです。
レシチンには油と水を捕まえる能力があるのです。
水と油が混ざるというのは1つのポイントですね。
他にも牛乳に含まれているカゼインは水分と乳脂肪を捕まえる機能があります。
脂肪酸の脂っぽい性質にカゼインの脂っぽい部分が取り囲んで牛乳の水中に安定しているのです。
界面活性剤を取り囲んだ油が光を通さず濁って見える状態を「可溶化」と言い、ミルクのように白濁しているものは「乳化」といって取り囲まれた物質が光を通さない状態をいいます。
このように、界面活性剤は、本来なら分離してしまう様な成分同士をつなぐ役割を持っています。
マヨネーズでお分かりの様にお酢と油と卵を一緒に置いておくだけではマヨネーズにはなりません。
コンタクトレンズをこすり洗いする理由
混ぜる動作が必要です。
それと同じで界面活性剤が入ったケア用品は基本的に混ぜる様な行為、つまりこすり洗いをしなければ油よごれは落ちません。
界面活性剤フリーというのもありますが、入っていなければなおさら落ちません。
界面活性剤フリーは界面活性剤を配合していません。
界面活性剤に対するアレルギー反応を示す人の為にあるのでアレルギーのない人は必ず界面活性剤のものを選んで下さい。
ケア用品に含まれる界面活性剤の成分名
界面活性剤が入っているかどうかは成分表で確認できます。
ただし、メーカーの身勝手(ユーザー本位ではなく)で界面活性剤にワザワザ名前をつけて売り出しているので界面活性剤フリーと書かれていなければ、それは界面活性剤が入ってると思って良いです。
ちなみにどんな名前があるか載せておきます。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール
プロピレングリコール
ポロキサミン
ポロクサマー
テトロニック
これらは全て界面活性剤です。
まあ、一般の方にはまず分かりませんよ。
そもそも教える人達の理解も乏しいですしね。
筆者に言わせれば、これで正しい手入れをしましょうと言うには無理があります。
これら界面活性剤の優劣はありません。
ターゲットは油汚れです。
しっかりと決められた手順を読んでそれを実践する事が大切です。
まとめ
・汚れには油脂とミネラルとタンパク質がある。
・界面活性剤は水と油がくっ付く物質
・界面活性剤は油脂をターゲットにした成分として配合。
・界面活性剤と書いていなくても以下のものは界面活性剤。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール
プロピレングリコール
ポロキサミン
ポロクサマー
テトロニック
・界面活性剤は擦り洗いで効果が得られる。
・界面活性剤は汚れを浮かせた後にレンズの表面に潤いベールを作る。
・界面活性剤アレルギーの人は界面活性剤フリーを使うこと!
如何でしょうか?
汚れは油脂だけではないので、その他の汚れ対策を次回以降解説します!
次回に続く、