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角膜は酸素の要らない組織!【内皮細胞の仕事とは】

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目は酸素透過性の低いコンタクトをする事で酸素不足になり障害が出ると言われてきた

コンタクトによる目の酸素不足が原因で起こるとされている障害は、浮腫(むくみ)と内皮細胞数の減少・透明な角膜に血管新生が起こると言う3つです。

今回は内皮細胞の本当の役目をお伝えします。

むくみの原因を解消する内皮細胞のポンプ機能

内皮細胞の仕事はむくみの原因を解消すること

内皮細胞の仕事は角膜の厚みを一定にすることです。

厚みを一定にするとは角膜が浮腫を起こさないようにすることであり、また角膜が浮腫を起こしてもそれを元に戻すことです。

つまりむくみの原因を解消することが大きな仕事です。

内皮細胞は多層の上皮細胞とは異なり一層しかなく、その両側には水分が存在しています。

角膜実質は75%が水分、15%のコラーゲン繊維、5%の基質(糖タンパクなど)で構成されていて、内皮細胞の向こうから栄養分子(糖やアミノ酸)と供に内皮細胞と細胞の間を水分が浸透圧に従い流れてきます。

この時細胞には選択的に栄養成分などを制限する装置がついており、水分が流れてこないようにしています。

これを内皮バリアと呼びます。

そして角膜実質が浮腫を起こさないように水分などを汲み出すポンプ機能もついています。

この内皮細胞の細胞膜にあるポンプ機能のお陰で内皮バリアを越えて流れてきた水を汲み出すので普段は角膜の厚みは一定に保つことが出来、また角膜浮腫が起きても元の角膜の厚みに戻してくれます。

鍔井先生の論文によれば角膜実質に起こる浮腫の原因は二つありました。

コンタクトレンズによって二酸化炭酸の出口を塞がれた場合、二酸化炭酸が実質に重炭酸イオンとして溶けこむ(ガスがたまる)即時性の浮腫と、涙液交換が悪くなりペントースリン酸回路を活性させる物質であるEGFが阻害されて、ペントースリン酸回路で使われるはずの大量の水が実質に流れ込む遅延性の浮腫でした。

これらの事態が起こっても内皮細胞のポンプ機能が働いて房水側へ汲み出してくれるのです。

これまで内皮細胞の数が減少するとポンプ機能の汲み出す能力が落ちると考えられていました。

そして細胞数があるところまで減少すると厚みが一定に保てなくなり角膜が濁る病気になる。

だから内皮細胞が減らないようコンタクトレンズの酸素不足に気をつけようと啓発されてきました。

障害を起こさないための内皮細胞の秘められた能力

ところがここまで説明した通り、角膜は酸素を全く必要としていないことが鍔井先生の研究により明らかにされているばかりでなく、内皮細胞の数が減ると、こんどは浮腫を元に戻すポンプが数を増やし内皮細胞が減少しても内皮全体の機能は衰えないことを明らかにされています。

ですから、コンタクトレンズ装用で一見細胞密度が減っても成人のうちはなんら問題がないと結論づけています。

ただし、気をつけなければならないケースがあります。

それは老化です。

問題がないのは成人のうちと書いてありますから、老化は多少問題にする必要があります。

内皮細胞は老化により数が減ってもポンプの数を増やす為、細胞全体としては問題ないのですが、相対的には加齢とともに機能が落ちます。

ヒト角膜は酸素を必要としない為、酸素不足を起因としなくても、コンタクトレンズが原因で実質に溜まる水やガスを汲み出すのに時間がかかることを意味します。

つまり、加齢と供にコンタクトレンズ装用による浮腫は起こりやすくなります。

全体的に気をつけることはガスの出口を塞がないよう、乾燥させないようなレンズを選択することです。

ガスの出口を塞ぐレンズは酸素透過性の低いものですが、ヒト角膜は酸素を必要としないので酸素を通すかどうかが問題なのではなく、酸素を通さないレンズは角膜上皮から排出される二酸化炭酸も通さないことが問題なのでしたね。

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日本眼科学会が以前ホームページに掲載していた内容

日本眼科学会が啓発していた内皮細胞の問題を紹介します。

この記事を書いている現在はアクセスができなくなっていますが、分かっておいて損はありません。

「ヒトの角膜内皮細胞は一度障害されると再生せず、障害された部分は周りの内皮細胞が面積を拡大して補います。」「角膜内皮細胞は角膜の透明度を維持するためになくてはならない存在であり、内皮細胞の密度がある限度を超えて少なくなると角膜にむくみが発生し角膜の透明性が維持できなくなります。このような状態を水疱性角膜症と呼びます。」

カッコで前半と後半に分けました。

前半に関しては物理的に当たり前の事を言っているのだと既述しましたね。

後半文章に出てくる「むくみ」は浮腫のことです。

後半に関してはこの引用の後に続く文章に原因の(6)としてコンタクトレンズによる酸素不足を挙げていますが、ヒト角膜は酸素を必要としないので、原因としてあり得ません。

注目したいのは

細胞密度がある限度を超えたときに起こる水疱性角膜症

です。

水疱性角膜症は細胞密度が減った時に起こるのです。

日本眼科学会のホームページには「ある限度を超えて少なくなると」としか記載がなく、具体的な数値の記載がありませんでしたが、一般的には1平方ミリあたり500個まで減少した時なのです。

この数がどの程度なのか、ピンと来ない人も多いでしょう。

筆者は過去に何千人ものコンタクトレンズ装用者における内皮細胞の検査結果を見ましたが、40代より若い人が多い為なのか2000個を下回る人は記憶にありません。

コンタクトレンズ装用していないお年寄りにもあまりいません。

いてもやはり稀です。

ですから、いちいちコンタクトレンズとの関連性を考える病気でないのだろうと思います。

筆者が奇妙に感じたのは、500個を目安とした水疱性角膜症を恐らく殆どの人は2000個以上もあると言うのに、つまり回復不可能な浮腫と可能な浮腫を一緒くたにして告知することです。

本来なら回復不可能な500と言う数値と年齢別の平均値を示し、臨床で貴方の数値は幾つですよと示すことが、求められるべき姿勢ではないかと思いませんか?

医療は科学なのですから。

少なくともこのような文章の書き方は闇雲に恐怖心を植え付けているに過ぎないと思いますが。。。

因みに水疱性角膜症になるとどうなるのでしょうか。

「角膜にむくみが発生し角膜の透明性が維持できなくなります」と書いてあります。

つまり内皮ポンプがポンプとして機能しないので浮腫が回復せず、角膜全体が混濁するのです。こうなると角膜を移植するしかありません。

長くなってしまいましたが、

③内皮細胞は密度があるところまで減少すると浮腫が起こり、角膜の透明度が維持できなくなる。

これはコンタクトの酸素不足は全く関係ないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。

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次回に続く、


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