ハードコンタクトレンズ・非球面レンズのメニコンZは目に優しい?
非球面レンズは目に優しい?
ハードコンタクトを勧められる際に非球面レンズを勧められることがあるかもしれません。
特にメニコンの商品(特にメニコンZ)は全面非球面レンズなどと謳っています。
非球面レンズにはどの様な恩恵があるのでしょうか?
店員さん、もしくは眼科職員さんの勧め方はこんな感じです。
「目の形は周辺に行くほど緩やかになっています。
非球面レンズは少し特殊な形状で、目の形に合わせて周辺に行くほど緩やかになっています(だから目に優しい、目にフィット、目に良いなど)」。
目の形は周辺に行くほどカーブは緩やかになっているのは本当です。
だからレンズも周辺に行くほどカーブが緩やかになる、というのもメニコンの言う通りです。
しかし、ある誤解を与えています。
それは「非球面レンズ」と「球面レンズ」に分類されると言う誤解です。
これは迷信なのです。
はっきり言ってあなたは騙されています。
その理由を理解するにはレンズの設計図を「よく理解する」必要があります。
非球面レンズのメリットとデメリット・レンズの光学部
レンズの形を理解しよう!
レンズの内面は目に直接触れます。
レンズの中心から光学領域(光学部)という光を集めるためのゾーンがあります。
ここがベースカーブになります。
よっぽど特殊なレンズ以外、ベースカーブと言うのは球面です。
そしてベースカーブから周辺に向けてブレンド、ベベルというゾーンに変化します。

*ネット上でレンズの形状をいくつか見ましたが、どの図も光学領域にブレンドが入っています。本来は入らないので注意してください。それは、光学領域、ブレンド、ベベル全ての寸法記載のある図を見れば一目瞭然です。この図も誤りですが、どこよりも分かりやすく書かれていると思います。
ベベルの役目は「涙が入りやすくするよう」「装用感を良くするよう」に設けられています。
光学領域(≒ベースカーブ)とベベルの間にあるブレンドは「つなぎ目」の役割があります。
それぞれが違うカーブをしています。
どのメーカーのどのレンズもそのような設計になっています。
これはなぜかと言うと「目の形は周辺に行くほど緩やかになっている」からです。
だから、光学領域からブレンド、ブレンドからベベルへ「緩やかにカーブが変化」しているのです。
迷信と言ったのは「全てのレンズが非球面レンズ」であり、「球面レンズなど存在しない」からです。
全面が球面のレンズがあるとしたら、ブレンドもベベルも無いレンズになります。
でもそんなものはありません。
球面レンズなんて存在しないのです。
非球面レンズにはメリットがあって球面レンズにはデメリットがあると思う事も間違いです。
メーカーも認めている
筆者はこのことについて10何年も前にコンタクトレンズ協会へ問い合わせてみたことがあります。
その結果「全てのレンズが非球面だ」と回答をうけました。
同じようにメニコンの営業担当にも問い合わせをしました。
その結果、非球面レンズについて「他のレンズよりさらに非球面です」という回答でした。
つまり、メニコンも『確かにあなたの言う通り全てのレンズが非球面ですが』と言うことを認めていると言うことです。
「さらに非球面」。。
これは何を言いたいのでしょうか?
当時はメニコンZだけが「非球面レンズ」を謳っていたのですが、このレンズはサイズが大きく設計されています。
サイズを大きくした場合はサイズの小さいものと同じ曲率だと、目に対して圧迫がきつくなるのです。
だから、より緩やかにする必要があるので「さらに非球面」と言うのは当たり前の話なのです。
もっと言えば「さらに非球面」のレンズが皆に合うわけでもないのです。
むしろ合わない人もたくさんいます。
それなのに合わないレンズを勧められてカーブの選択だけで角膜が窮屈なフィッティングを筆者はいくつも見てきました。
そんな時はレンズのサイズを小さく特注するか、レンズ自体を別のメーカーに替えると言う選択肢がありません。
でも実際には球面と非球面の2種類が存在すると言う思い込みによって正しいレンズの選択がなされていないのが現状です。
高度管理医療機器と言いながら一方でこの様な間違った思い込みを促進する販売戦略に対して疑問を感じます。
カーブの事を把握している人としていない人。
あなたはどちらの人にレンズがフィットしてるかどうか見てもらいたいですか?
これは言わずもがなですよね。
常識は真実と違う、と言うことがよく分かりますよね。
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