人間以外の動物って近視になるの?
そんな事を考えた事ないでしょうか?
自然界で生き抜くために、目がいいと言うことは動物にとって必須のような気がしますね。
今回はどんな条件で近視になる可能性があるのか、動物たちの実験を通して見ていこうと思います🙂
近視の実験・猿の赤ちゃん
近視の要因
古くは1912年、Levinsohnにより、幼若猿を眼軸を水平になるような位置に顔面を下にして、1週間に6日間1日6時間この体位を捕らせると近視になるというものである。Youngは多数の猿を椅子に固定し、檻を20インチ以上みえないようにフードで覆った状態すなわち、限られた環境下で飼育した結果、幼若猿(生後11~24ヶ月)では6ヶ月で1・3/4Dの近視化が起こるが成熟猿では、3/4の近視化を生じた。引用:『新臨床眼科全書 3A(編・松田克彦)』
素人の方には分かりにくいと思いますが、
簡単に言うと、暗闇で見える距離も制限したら近視になりました。
というものです。
この実験に関しては単なるな毛様体筋の疲労なのか眼軸(奥行き)の延長なのかはっきり書かれていません。
近視で遠くが見えにくい場合には2通りの可能性があります。
1つ目は疲れてしまって遠くが見えにくくなっている可能性です🙂
専門的にいうと...毛様体筋の疲労=仮性近視(回復可能)
2つ目は本当の近視になって遠くが見えなくなっている可能性です🙂
専門的に言うと....奥行きの延長=真性近視(回復不可能)
暗い場所、そして近くしか見ないことが猿の赤ちゃんの仮性近視、又は真性近視の要因です。
仮性近視の実験・猫
仮性近視になる要因
その他の実験では、
Roseらは野ばなしの猫12匹と檻で飼った猫11匹では前者の平均屈折度が+1.14Dであるのに及し、後者のそれは‐0.62Dであり、両者の眼軸長に差のみられないことにより、水晶体などの関与する屈折性の近視の発生をみたと報告している。(前掲書引用)
ほぼ差はないが、野放しの猫よりは檻の猫の方がやや近視になっている
という報告です。
猫を使った実験では奥行きの延長はなく、水晶体の硬化(毛様体筋の疲労)だと言っています。
注意が必要なのは、毛様体筋の疲労であればこの近視は治ると言うことでしょう。
つまり、この報告はどんな環境でも近視にならない人もいることを示唆するものかもしれません。
(再掲)
毛様体筋の疲労=仮性近視(回復可能)
奥行きの延長=真性近視(回復不可能)
今では考えられえないことですが、かなり昔は筋肉の疲労から目の奥行が伸びるという考え方ではなく、ピント調節をした水晶体というレンズが調節した形のまま元に戻らなくなるいう考え方もありました。
この考え方をもとに水晶体がかたまるの防ごう!
と視力回復センターなるものができたのです。
この考えに立ってみると、目の奥行が伸びては都合が悪くなります。
目の奥行が伸びることは目のサイズが成長したのと同じ意味を持ちます。
またそのうち記述しますが、水晶体の硬化による近視の進行はありえません。
だから視力回復センターでは近視を回復させられません。
ここでは猫が一時的な近視になったと示唆しています。
因みに猫の視力は元々悪くヒトで言えば、0.3くらいだそうですよ。
真性近視の実験・猿の赤ちゃん
真性近視の要因とは?
最も有名な実験モデルとして、ウィーゼルとラビオラという先達が行った猿の赤ちゃんの瞼を縫い付けるという実験があります。
縫合期間は19ヶ月から26ヶ月に及び、近視化は最高で13.5Dに達している。この近視化の程度は眼瞼縫合の期間が長いほど、また猿が幼若なほど強い。そしてこの近視化は眼軸長の延長によるものである。(前掲書引用)
目をつぶった状態で瞼を縫い付けて放ったらかしにした。
放ったらかした期間が長いほど目の奥行きが伸びた。
若い猿ほど目の奥行きが伸びた。
と書いてあります🙂
(再掲)
毛様体筋筋の疲労=仮性近視(回復可能)
奥行きの延長=真性近視(回復不可能)
これを人に置き換えて見ると環境によって近視になるし、若い人ほど近視になる
と言う可能性を示唆しているのです。
近視実験のまとめ
如何でしたか?
猫の実験では一時的な近視になりました。
猿の瞼を縫い付ける実験では目の奥行が伸びて近視になりました。
生活環境が近視を生み出すと言うことがよく分かりますよね?
あくまでも環境が整えば近視になるのであって、自然界で近視になるということはあり得ないでしょうね。