涙が作られる3つの場所
涙はどこからやってくる?
タンパクの層(Mucous layer)
油の層(Lipid layer)
図(の左側)のように涙は大きく3つの層に分かれています。
外から脂、水、たんぱく質、になっていて(図の左側)、それぞれ分泌される場所は違います(図の右側)。
水分が充分に分泌されないものを量的な変化による乾きと言います。
涙の成分はバランスよく分泌されてこそ目の保護機能が維持されますが、バランスが崩れると目が乾きやすくなります。
アンバランスによるものを質の変化による乾きと言います。
脂は水を蒸発させない為に外側にあります。
脂の分泌腺はまつ毛の後ろにあり、詰まると水の蒸発が早くなります。
また、タンパク質は涙がこぼれ落ちないようにしています。
それぞれに役割があるのです。
ドライアイの症状は?
こんな症状はドライアイかも
ショボショボする
ゴロゴロする
シパシパする
疲れる
これらの症状は目の乾きに由来するかもしれません。
ドライアイと呼ばれるひどい状態になると、
目が痛い、目が霞む、充血する、眩しいと言った症状も出てきます。
これは目の表面が傷つかないように保護している涙の作用が働かない為に、目が傷ついてしまっているからです。
ドライアイの原因12選と対策!
ドライアイの原因と対策は?
このドライアイには原因があります。
日本眼科学会によると、「現在、日本では約800~2200万人ものドライアイの患者さんがいるといわれ、オフィスワーカーにおいては3人に1人がドライアイという報告もあり年々増加傾向にあ」るそうです。
書き方が紛らわしいですが、800人ではなく800万人から2200万人と言うことでしょう。
オフィスワーカーはパソコンを使ったりしますよね。
このような作業をVDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)と呼び、それが原因で起こる目の不調の他に以下の症状がある人は要注意です。
肩こり・手のしびれ・背中の痛みなどの身体の不調、
イライラ・不安感などの心の不調、
これらはVDT症候群と呼ばれます。
オフィスワーカーの3人に1人だと言われますが、増加傾向にあるのはスマホやタブレット端末の影響が大きいからだと考えられます。
仕事と言うことで避けられない部分もありますが、仕事以外の時間は目を休めることは出来そうですよね。
以下にドライアイ・12の原因を挙げます。対策の出来るものと出来ないものがあります。
加齢に依って涙の分泌量や質は低下することが知られています。
女性のほうが男性よりドライアイになりやすいことが知られています。
これは女性の更年期障害との関係があると言われてます。
パソコン、ゲーム、スマートフォンなど、モニターを見つめる作業を長時間行うことで、瞬きの回数が減ってしまいドライアイ症状が起こりやすくなります。
時間を減らす、休憩を増やす、瞬きを意識的にする、画面を目線より低い位置に置くなどの対策があります。
湿度の少ない環境では目の乾燥も酷くなります。
冬場に暖房器具を使うと湿度はさらに下がるので加湿器と併用しましょう。
また、家や車内ではエアコンや扇風機の風が直接当たらないようにしましょう。
ハードよりもソフトコンタクトレンズの方が目は乾燥しやすくなります。
ソフトならモイストタイプにするか、装用時間を減らすなどの必要があるかもしれません。もちろんハードレンズへの変更も有効です。
たばこの煙に曝されると、涙の状態が悪くなることが知られています。
対策はもうお分かりですよね。
血圧を下げる薬や向精神薬など「抗コリン作用」を持つ薬では、涙の分泌量が減少することがあります。また、最近ではテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(商品名:ティーエスワン)という抗癌剤によって涙の分泌量が減少することが知られています。
さらに、
certain drugs, such as antihistamines or decongestants
抗ヒスタミン剤又は点鼻の充血除去剤などの特定薬物が挙げられています。
また、目薬の中に含まれる防腐剤による障害も起こりやすくなります。
薬の服用や使用のある方は医師に相談してください。
まぶたの縁には油を分泌する腺(マイボーム腺)があります。マイボーム腺が詰まると涙に必要な油分がなくなってしまいます。
お風呂に入って時でも良いので蒸し(温かい)タオルで目を5分くらい温めると良いでしょう。
ドライアイ対策で目を冷やすのはNGです。
vitamin A deficiency
ビタミンA不足が挙げられています。
科学的根拠があるのか分かりませんが、ビタミンA豊富な食べ物を積極的に摂取しておいて損はないでしょう。
近視矯正手術(主にレーシック)では涙を分泌させる為に必要な知覚神経を切断してしまうことがあります。
よく考えてから手術をしましょう。
シェーグレン症候群という、涙腺、唾液腺に対する自己免疫疾患では、強いドライアイを生じることがしばしばみられます。
自己免疫疾患では他にも
lupus or rheumatoid arthritis
狼瘡又は慢性関節リウマチ、が挙げられています。
その他の全身性の病気では、
diabetes・leukemia・lymphoma、
糖尿病・白血病・リンパ腫
などもドライアイになる可能性があるといわれています。
加齢によって白目の表面にが弛むことで、涙が全体を均一に覆わ無くなります。
また、弛んだ結膜は瞼と触れやすくなり、摩擦によって眼表面に傷がつきやすくなります。
ドライアイの検査とセルフチェック!
ドライアイの検査とセルフチェック
目の乾きが心配な人は量を調べると同時に質を調べてもらう必要があります。
詳しい検査に関しては素人の方は知らなくてもいいですが、セルフチェックは覚えておいてください。
瞬きをせずに10秒間、目を開けたままで入られますか?
もし10秒以内に閉じてしまうようなら涙の層が10秒以内に破壊されてしまっています。(BUT;説明は下)
それでは検査の説明をします。
量を測るには試験紙を瞼に挟んで一定時間十分な涙の量があるかを調べます。
シルマー試験法と着色錦糸法がありますが、共に下の瞼に挟んで行います。
違いは前者が「ろ紙」のような紙を使用することに対し、後者は着色した糸を利用するという違いと、点眼麻酔が必要かどうかです。
また後者の方が検査時間も短い事からより簡便と言えます。
「シルマー試験法」・・局所麻酔薬を点眼して、
反応性充血がおさまり、 角結膜が完全に麻酔されてから検査を始める。 5分後に試験紙を抜き取る。
「着色錦糸法」・・0.05%
フェノールレッドに着色された錦糸を使用する。 糸のためほとんど無刺激であり、 点眼麻酔を行う必要がなく測定時間も短いことである。 測定時間は15秒。 引用:眼科検査法ハンドブック第2版(医学書院)
シルマー試験法は2種類やり方があります。
シルマーⅠ法とⅠ法変法です。
I法では基礎分泌を診る為、点眼麻酔をして閉眼で行います。
Ⅰ法変法では刺激によって涙がどれくらい分泌されるかを診るので、点眼はせずに開眼で行います。
点眼麻酔をした後、綿棒で余分な涙を拭き取り、試験紙を瞼に挟みます。目は閉じたまま5分待って判定します。
その他涙の質を調べる検査もあります。
「マイボーム腺の機能検査」・・
マイボーム腺は涙液の脂層の形成に関与し、 この機能不全は涙液の質を変化させる。 原因不明の角結膜障害では、眼瞼縁を注意深く観察すると、 マイボーム腺機能不全が存在する事がある。(前掲書引用)
「BUT」・・フルオレセイン染色液で涙液層を染め、
細隙灯顕微鏡下で開眼させ、 涙液層が破れて角膜上皮が露出するまでの時間を測定する。 通常涙液中のムチンが減少するとBUTは短縮する。 また瞬目運動に障害があっても、 上皮最表層細胞のムチンの保持が悪くなり短縮する。 BUTが10秒以下の場合にはSCLの装用が不適当とされている 。(前掲書引用)
「ローズベンガル染色」・・
外観はフルオレスセインが黄色であるのに対し赤色となる。 古くから変性した細胞を染色すると考えられていたが、 最近の研究で、 じっさいには特にムチンにおおわれていない細胞を染色する事が明 らかとなった。(前掲書引用)
このように、
ドライアイの治療法は?
ドライアイの治療法
治療法は対処療法ですが目薬を使うことが多いと思います。
目薬には防腐剤無添加の使い切りタイプや潤い成分ヒアロンサン入りタイプやタンパク質を補うタイプなどその人の目に応じた種類があります。
症状がひどい人には涙の排水管の入り口を塞ぐ涙点プラグというのもあります。
泣いた時に鼻水が出るのは涙が排水管を通って鼻に抜けるからです。
排水管を止める事で涙を逃がさない効果があります。
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